1588 PTPネットワーク:チュートリアル
2018年1月時点で、より透明で公正な金融環境を構築することを目的として、欧州連合(EU)の金融・資本市場に係る包括的な新規制(MiFID II)が策定されました。MiFID IIで関連する規制の1つは、ビジネス・クロックに時刻精度の要件が追加されたことです。取引所やそれに関係する企業で使用するビジネス・クロックは、UTCに時刻同期し、トレーサブルで、精度が良く、証明可能なタイプスタンプを実装することが求められます。
具体的な詳細要件はRegulatory Technical Specification(RTS)25で概説され、例えば、1µ秒のタイムスタンプ粒度、UTCに対して100µ秒以下の誤差が要求されてます。どのようにこの要求を満足していることを保証できますか?
実装方法:NTP/GPSまたはPTP?
金融市場で広く使われている同期方法としては、NTP(Network Time Protocol)があります。ただし、一部のMiFID II要件(さらに、高頻度取引など固有なアプリケーション)に対しては、NTPでは必要な精度を達成できません。PTP(IEEE1588-2008で定義されたPrecision Time Protocol)による同期は、理想的なソリューションを提供します。
PTPネットワークは要求される同期精度を満たすだけでなく、設備故障などの場合に、正確な時刻を維持するための冗長構成が可能です。PTPはGNSSと組合せて使用することができ、ロケーション内、ロケーション間で、追加のGNSS導入に頼ることなく、時刻配信が可能です。GNSSの据付導入は、設置環境に依存し、ケーブルの敷設など設置コストが大きくなる場合があります。
導入適合性の証明
MiFID II検証をサポートするには、導入前にシステムテストを実施し、レビュー演習のエビデンスを提供することが必要不可欠となります。
テストをすることで、MiFID IIにおける次の3つの要件を確認することが出来ます。
ネットワークの相互運用性
相互運用性はPTPネットワーク開発の課題の1つです。ネットワーク内では各機器が互換性のあるPTPプロファイルに対応している必要があります。堅牢なテスト構造により、開発中に発見された設定ミスなどに起因する工数やコスト削減が可能です。デバイスの標準化準拠
トレーディング・システムや取引形態よっては、ネットワーク内の全デバイスには、特定要件に準拠するために調整されたプロファイルが必要となります。ネットワーク機器のパフォーマンスを検証し、「定常状態」のタイミング精度を維持するには、評価対象機器の測定精度が要件よりも少なくとも一桁多くなければなりません。「ネガティブ・コンディション」レスポンスのテスト(例:エラーメッセージ)
ネットワークでは、プロトコルエラー、タイミング・オフセットなどのネガティブ・コンディションを適切に処理できることが重要ですが、このような条件下で機器がどのように応答するか評価することは困難です。そのためテスト機器は、ネガティブコンディションのシナリオでネットワークのパフォーマンスを検証できるようにシミュレートすることが必要です。
Calnex社はどのように役立つか?
PTPフィールドの相互運用性を検証したり、ネットワーク設計を最適化したり、デバイスをネガティブ・コンディションでテストしたり、ラボでのGPSリファレンスが要求されたりする場合でも、Calnex社ParagonファミリとSentinelが役立ちます。Calnex社の機器は、検証課題に対処し、テストの複雑さを軽減し、有効性を高め、デバイスの時間に関わる標準化準拠を効率的に検証するように設計されています。